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電子納品支援ツール(電子納品)


1.評価の視点
2.インターフェイスの良否
3.入力作業の軽減
4.入力ミスへの対応
5.ソフトの柔軟性
6.マニュアルの充実度
7.サポート体制
8.おわりに


 このコーナーでは、「建設業のIT化に活用されているソフト」の特長・使用感などを紹介している。今回、ご紹介するのは株式会社 フォーラムエイトの「電子納品支援ツール」である。なお、感想や評価にはインタビュアーの私見が含まれることをご了承願いたい。
 
 株式会社 フォーラムエイトはUC−1設計シリーズを建設業界向けに提供している会社であり、そのシリーズの製品である「UC−win/Road」が、(財)ソフトウェア情報センター(SOFTIC)の実施するソフトウェア・プロダクト・オブ・ザイヤー2002に選定されるなど、建設分野ではよく知られた会社である。そして、「電子納品支援ツール」はUC−1設計シリーズの顧客の要望に応じて、無償で提供されていたという経緯を持つ。

1.評価の視点
  

 ソフトの評価は主観的な評価となることをお断りしながら、今回も、(1) インターフェイスの良否、 (2) 入力作業の軽減、(3) 入力ミスへの対応、(4) ソフトの柔軟性、(5) マニュアルの充実度、(6) サポート体制の視点から見ていく。


2.インターフェイスの良否
   (1)インストール
      プログラムのインストールはInstallShield Software CorporationのInstallShield Professionalを使っているが、インターフェイスは他の多くのWindowsプログラムで使われているものと同じデザインであり、感覚的に操作が可能でとても使いやすい。さらに、デフォルトのドライブ以外にインストールしても、インストール先のフォルダーが自動的に生成されるので、余計な作業を強いることもない。
 しかし、インストールするソフトの中にはDr.e-printerのように、プロテクトキー(USB接続あるいはプリンタポート接続)を要求するものがあるので、事前にデバイスドライバーを組み込みプロテクトキーを認識できるようにしておく必要がある。
     
  (2)インターフェイス
      「電子納品支援ツール」を起動するとすぐにメイン画面が表示され、電子納品の成果品がどの様な作業の流れで作られるかを分かり易く図化したページが現れる。多くのソフトは多機能化してきているが故に、当該ソフトで何ができて何ができないかを端的に知ることはとても難しい状況になっているので、このような全体の機能が簡単に分かるような図はとても有り難い。
 また、本ソフトはインターフェイスの画像デザインがとても綺麗で洗練されており、操作法が視覚的にとても分かり易くできている。

  
     
図1 操作インターフェイスの例
(クリックすると画像が大きくなります)

 1製品で土木設計業務や工事完成図書両基準に対応しているソフトであるので、まず起動してエクスプローラー風の画面から土木設計業務または工事完成図書のどちらかのタブをクリックする。すると、電子納品の目的に応じた必要ファイルとフォルダーのひな型が表示される。既存のフォルダーがないときは該当するディレクトリーを選択して右ボタンをクリックすると、「フォルダーの新規作成」メニューが表示される。
 あとは該当フォルダーに必要ファイルを、ドラッグ&ドロップすればXMLファイルは自動生成される。

 電子納品作成支援ツールの多くは納品すべきオリジナルファイルやPDFファイルが既に作成されていることを前提として作られているものが多い。オリジナルファイルをドラッグ&ドロップし、そのファイルを例えばダブルクリックするとPDFファイル作成プログラム(Acrobat Distiller等)が起動して、PDFファイルを作成できると使いやすいと思われるが、そのような機能を本ソフトは備えていない。

 「電子納品支援ツール」は一見複雑に見える電子納品の作業が上手に簡便化されており、電子納品の骨格となる作業のインターフェイスのできはとても良い。しかし、やむを得ず例外的処理や基本からずれた処理を行おうとすると(例を挙げれば、XMLのチェック機能とその修正機能はあるがXMLファイルの直接編集はできないことや、報告書ファイルの管理情報の入力手順は、1.「REPORT」フォルダを右クリックし、「ファイルの追加」を選択、2.保存するPDFファイルを選択し、「開く」をクリック、3.追加されたPDFファイルを右クリックし、「管理項目の編集」を選択となるが、既存の管理情報を直接編集する方法が見つけにくい)、方法が分かりにくかったりできないことが少なからずある。
  本製品は自分でXMLを書けるレベルの人を主たる対象とするのではなく、業務にかかる誰でもが少し学習しただけで使えるよう設計されたものであろう。こういった意味ではソフトも低価格の部類に入るし導入コストも低く、複雑で理解しにくい価格の高いソフトよりも電子納品を学び作成するには良い選択かもしれない。



3.入力作業の軽減
    この種のソフトで入力の手間をできるだけ効率化することは、生産性を上げるために非常に重要である。
 REPORT(報告書ファイルフォルダ)やORG(報告書オリジナルファイルフォルダ)などにドラッグ&ドロップ、または右クリックで表示されるメニューでファイル操作をするだけで、XML管理文書を電子納品要領(案)に従って自動生成する。さらに、入力が必要な管理項目はダイアログを開くことで編集修正ができ、選択による一括コピーやフォルダ単位のファイルコピーが行えるなど、初期値が入力されていること(初期値機能)に相まって、管理ファイルの編集追記が容易になっている。

 また、TECRIS(設計業務)、CORINS(工事実績)、またはAGRIS(農林)の業務件名、発注者、受注者情報などの登録情報を読み込む他、効率的な業務管理ファイル(INDEX_D.XML、INDEX_C.XML、)を生成することは可能であるが、過去に入力した情報を記憶する(Windowsでのオートコンプリート)機能は無い。同様の電子納品ファイルや項目を作成するには既存のそれらをコピーする機能を持つので、異なる項目のところだけを新規に入力すれば問題は無いともいえるが、やはり、オートコンプリート機能はあった方が使いやすいであろう。

 些細なことであるが、INDEX_D.XML等の業務データーの入力で、「業務件名等」や「業務情報・予備」の欄で行を追加できるようになっているが、マウスの「右クリック」→「挿入」の操作では必ず既存行の上に挿入され、最下段行の下に挿入されない。リターンキーで最下段行への挿入(行の追加)が行える設計となっているがこれが分かり難く、一般的操作法や作業の手順を考えると、「挿入」の位置を選択できるようにするとかの改善の余地があるように思われる。


  
     
図2 入力操作画面の一例
(クリックすると画像が大きくなります)

4.入力ミスへの対応
    必須入力項目は赤字で表記され、ソフトウェアー情報等のデフォルトデータは初期値機能により入力済みとなっていたり、XML記述ミスのチェック機能や、オリジナルファイル中の禁則文字のチェック機能は備えているが、undo、redo機能や、履歴(ヒストリー)が記録され任意の段階まで戻れるように設計されていたり、右クリックでのヘルプ機能などは無い。

  
     
図3 入力の効率化
(クリックすると画像が大きくなります)

5.ソフトの柔軟性
    「電子納品支援ツール」も基本的な仕組みは類似ソフトと同じであるが、最大の特徴はサーバー版があり、ネットワークでの利用が可能となっていることである。電子納品でもっとも大きな課題の一つは、作成されるファイルの履歴管理であるといわれている。業務分担により作成されたファイルがスタンドアロンのコンピュータに分散保存されていると、電子納品作成時に各PCから必要ファイルの最新バージョンを洩れなく収集しなくてはならず、少なからぬ労力が必要となる。
 サーバーに「電子納品支援ツール」をインストールしてネットワークで活用すると、使い方次第ではファイルの分散化の防止も可能であるが、現バージョンではデータストレージ機能に特化されており、ユーザ設定(ユーザ、パスワード)による電子納品フォルダ管理や、サーバの電子納品各フォルダの更新履歴が表示できるだけの仕様となっている。
  プログラム構造や著作権条件としてもASP(Application Service Provider;ネットワークを通じてアプリケーション機能を提供するベンダー)的利用は想定しておらず、ネットワークにつながる各PCに「電子納品支援ツール」をインストールする必要がある。
  版管理機能は電子納品関連ソフトにおいて必須の機能となるであろうが、この機能を持ったバージョンの開発は以下に示すように、今後の予定とされている。

 フォーラムエイトのホームページ上に「今後の開発予定項目」として、以下の項目が挙げられている。
(1) 発注者仕様 発注者に関わる仕様をサポート。発注者側で運用しているシステムとの親和性を考えた機能を開発。
(2) データチェック機能 現在の管理ファイルのチェック機能に加え、電子納品ファイル自体のチェックをサポート。
(3) 基準類への追加対応 農水省等の基準改訂及び「建築及び設備関連の電子納品に関する詳細基準」(国交省)への対応。
(4) 地方自治体の電子納品システムを
   意識したカスタマイズ機能
自治体での要求仕様に対し、パッケージの標準機能でカスタマイズできる機能を盛り込む。
(5) 閲覧機能の強化、改良 アプリケーションに依存しない閲覧機能及びサムネイル表示、自動送り機能などを強化。

    これらを裏返してみれば、現在のバージョンでは上記の機能を持っていないことになる。しかし、「電子納品支援ツール」は開発の目的が、「電子納品への対応が始まったばかりで、関係者の習熟度やスキルレベルに依存しなくても、とにかく簡単に電子納品作成要領(案)に従って成果品が作れればよい」とのコンセプトから設計されているように思われる。はじめから多くの事柄を備えたソフトを開発するよりも、関係者がマニュアルを隅から隅まで読まなくとも、視覚的に理解できるソフトはとても貴重であり、その自己抑制的開発姿勢を保っていることは、コストパフォーマンスの点からいってもすばらしいことである。電子納品に熟知してくればソフトの利用者から様々な要求が出てくるであろうから、その時点で徐々に付加または改良すればよいのではなかろうか。

 このようなコンセプトに対して、自分でXMLを書けるレベルの人にとっては電子納品の作業の流れを段階的に追って作らねばならないこと、本ソフトで作成された電子納品ファイルが、拡張子.dndを持つファイルとして作成されるので、既に作成した電子納品ファイルを読み込むことやテキストエディター等を用いて作成した管理用ファイルや報告書ファイル等やその定義ファイルであるDTDファイルを読み込むことができない(これらのファイルは自動生成が前提となっている)ことに対して、ソフトの自由度が低いと思われる方もいるかもしれない。

 しかし、これは考え方の違いであって、「電子納品が義務づけられたので教育コストを抑えトータルの導入コストを安くし、成果品ができればよい」と考える関係者の方が多いのではないだろうか。そもそも電子納品は簡単で手間がかからないのが一番である。これに費消されるコストはミニマムを目指すのが正解かもしれない。


6.マニュアルの充実度
  

 「電子納品支援ツール」には、「電子マニュアル」と「操作ガイダンス」の2種類の説明書がある。電子マニュアルは総ページ数112ページととても詳しい説明がなされており、ソフトを使用するのに十分な内容を持つ。操作ガイダンスは電子マニュアルを要約したものであり、総ページ数は40ページである。
 なお、「電子マニュアル」はhttp://www.forum8.co.jp/faq/manual-index.htmから、 「操作ガイダンス」はhttp://www.forum8.co.jp/product/guidance/f8dn-gui.htmからダウンロードして見ることができるので、購入を予定されている方は是非一読をお勧めする。


  
「電子マニュアル」   「操作ガイダンス」
図4 「電子マニュアル」と「操作ガイダンス」の目次
をクリックすると、より詳しい目次が見られます)

7.サポート体制
  

 マニュアルだけでなくサポート体制も充実しており、http://www.forum8.co.jp/tech/uc1win0-tech.htmの「CALS/CAD」欄を見れば、最新バージョン製品、更新日 バージョン、更新情報、差分ファイルのダウンロード、VIEWER版のダウンロード、Q&A、更新日、電子マニュアル等が入手可能となっている。これだけのサポート体制が完備されていればソフトのシンプルさも併せて、電子納品初心者でも十分使いこなせるであろう。


8.おわりに
  

 評価者の経験やスキルレベルで、ソフトの評価は変わってくるものである。評価者はなるべく中立の観点から評価するよう努力するが、どうしても好みの違いが出てくることは否定しがたい。昨年度、電子納品作成要領(案)を読み、テキストエディターを使って電子納品を作成した身からすると、「電子納品支援ツール」は正しく良くできた支援ツールであって、それ以外の何物でもないとの感じを受けた。なぜなら、シンプルに表現すると決められたフォルダーに作成したPDFファイルとオリジナルファイルをドラッグ&ドロップでコピーし、後はソフトが示す簡単な手順に従って作成さえすれば、それで一応のものはできてしまうからである。本ソフトを使っていると、あの苦労はいったい何だったのかと思わせられるところがある。

 発注者と協議するほどのことではないが、電子納品作成要領(案)にそぐわないところが出てきてしまって、ついソースを弄りたくなるレベルのユーザーは、簡単であるが故の操作の自由度の低さに戸惑うかもしれないが、それは本ソフトの開発コンセプトを斟酌するに、要求すること事態が無理だといえよう。しかし、今後の開発方向で紹介したように、ユーザーの一般的学習度合いが底上げされてくれば、本ソフトも初心者から熟練者までが満足できるソフトに、間違いなく成長していくものと思われる。

 フォーラムエイトは自社のホームページにて、製品の詳しい情報を提供している。 ここで取り上げた「電子納品支援ツール」に関しても製品版とほとんど変わらない試用版が使え、「電子マニュアル」と「操作ガイダンス」もPDFファイル形式で読むことができる。評者の主観的意見が入った記事と、フォーラムエイトが提供する情報とを併せて読んで頂き、ユーザーにもっともふさわしいソフトであるかどうかを判断してくださればと思う。

  以下に、「推奨する動作環境」をまとめておく。

(1) ハードウェア ・CPU;Pentium 以上(推奨 PentiumU 300Mhz 以上)
・メモリ;64MB 以上(推奨128MB 以上)
・ディスプレイ; 解像度が 800×600 ドット以上(推奨 1024×768 ドット以上)
(2) OS ・Windows95、Windows98、Windows/NT、Windows2000等の32ビット
Windows環境を有するOS
(Windows2000 もしくは WindowsXP の環境にて使用することを推奨)
(3) ハードディスク ・100MB 以上必要(インストール時及び実行時含む)
(4) ソフトウェア ・PDF ファイル閲覧用としてAdobe Acrobat Reader(無料) が必要。
・DXF ファイル閲覧用としてAuto Desk VoloView(無料) を使用。
・プレビューには、InternetExplorer5.0(無料) 以降が必要。
(5) プロテクト ・ハードウエアプロテクトキー(プリンタポートへの接続)
・ネットワーク対応ハードウエアプロテクトキーの場合は、クライアント側には
ハードウエアプロテクトキーの接続は必要としない。
 
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