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循環型社会が求める公共事業におけるゼロエミッション(第2回)


(第1回)
  循環型社会へのパラダイム転換
  ゼロエミッションへ向けた取組み
(第2回)
  建設副産物における情報管理
(第3回)
  建設リサイクルの認知度向上のために
  建設リサイクルの展望

 植田 和弘
京都大学大学院経済学研究科教授/
建設リサイクル推進懇談会委員
 大平 将之
社団法人日本建設業団体連合会
環境関連法制度研究WG委員/
株式会社竹中工務店東京本店
安全環境部環境担当部長
 杉山 涼子
株式会社杉山・栗原環境事務所 代表取締役/
建設リサイクル推進懇談会委員
 藤井 元生
国土交通省総合政策局
建設副産物企画官
 柳澤 茂樹
財団法人日本建設情報総合センター研究第二部長/
建設副産物情報センター長

建設副産物における情報管理
   
柳澤
 人間の動脈、静脈の血流も、気象や運動、感情、そういう情報でコントロールされるように、循環型社会の輪を支えるのもやはり情報です。副産物の情報流通管理は非常に重要ですね。  
植田
 建設副産物においては、やはり長期的、中期的、短期的と言った具合にタイムスパンを踏まえた取組み方が大事ですね。情報管理の仕組みは、そういった取組みを全体として総合的に、かつ経済性も高めながら取り組んでいくための基盤づくりにあたると思います。
 それはいくつかの要素があって、1つは、先ほど話がありました分別収集の始まりというのは沼津市が1975年に始めたと言われているわけですが、その時によく使われた標語が、「分ければ資源、まぜればゴミ」という、今でも通用する基本理念みたいなことを言ったわけですね。ここはやはり情報管理の一番重要な点だろうと思います。先ほどの小口をうまく集めていく、そういうことができれば、実は資源になるのかもしれない、こういうことだと思います。
 私は、リサイクルの成立条件には次の3点があると考えています。ある種の質、有用性で持って集められた一定の量、次に技術、そして受け皿です。質量と技術と受け皿の3条件が同時にそろうことが必要ではないでしょうか。そしてこれらをコスト面を考慮しながら連携させるには情報管理が不可欠です。
 また不法投棄問題が広く知れ渡り、処理に対する不信感が世間には存在していますが、その不信を無くし、信頼性を回復する上でも情報管理の問題は大変大きいと私は思います。
 そういう意味で、廃棄物を資源に変えるための基礎情報でもあるし、処理のシステムの信頼性を向上させるための基礎情報でもあるし、同時に、それらを通じて建設副産物管理の経済性を向上させるための基礎情報、そして、それらを全部集め今のシステムをどのように変えるのが一番いいのかということを皆で考えるための基盤にもなっていきますね。
 
 
不法投棄の件数及び領の推移
図−8 不法投棄の件数及び領の推移
出典:旧厚生省
最終処分場の残余年数等の推計
図−9 最終処分場の残余年数等の推計
出典:環境省
 
 
植田 和弘氏 植田 和弘氏
1975年 京都大学工学部卒業
1981年 大阪大学大学院博士課程修了
1981年 京都大学経済研究所助手
1984年 京都大学経済学部助教授
1985年 ロンドン大学、未来資源研究所に留学
〜86年  
1994年 京都大学経済学部教授
1997年 京都大学大学院経済学研究科教授として現在に至る。
<主な委員会等>
 中央環境審議会臨時委員
 経済財政諮問会議「循環型経済社会」専門調査会委員
 
藤井
 情報データ収集について言えば、これまで5年置きに行っていた建設副産物実態調査(センサス)を平成14年からは毎年実施するようになりました。
 平成12年のセンサスの結果を簡単に申し上げますと、建設廃棄物の排出量は平成7年と12年を比べますと、9,900万トンだったのが8,500万トンに減っています。
 また、品目別のリサイクル率では、アスファルトが98%、コンクリートが96%、木材がいわゆるサーマルだけではなく焼却分を入れて83%程度です。木材は焼却分を除きますと、リサイクル率は38%ということで、これは5年前とほとんど変わっていないという状況です。リサイクルが進まない要因としては、先ほど植田先生が言われた量、質、技術まではあるが、受け皿がないのではないかと考えています。コンクリート、アスファルトについては、先ほどの点がすべてそろい、全国各地に再資源化工場ができリサイクル材の価格が下がっていくという状況になりましたので、うまくいっていると思っています。
 また、建設汚泥のリサイクル率が、まだ40%程度という状況になっています。それから、混合廃棄物もかなりの量が出ていますが、これは今後の建設リサイクル法の施行によって、排出量は減ってくるのではないかと考えています。そうなりますと、残る混合廃棄物というのは、ほとんどリサイクルできないようなものばかりが出てくることになりますから、それを今後リサイクル率で評価してよいものかと思っていまして、今度は量で評価していくことになると考えています。こういった基本的な数値データベースを毎年実施することが私どもの使命の1つです。
 あわせて、品質、素材に関する情報も重要です。例えば、アスファルトが何回リサイクルできるのか。恐らく粘り気がどんどんなくなっていくとは予想できますが、何回リサイクルできるかどうかはっきりしていません。またアスファルト舗装でも、最近凍結抑制としてゴム、廃タイヤを入れたりしていることもありますが、そういったもののリサイクルの技術がまだ全然ありません。なおかつ、それをずっと建材の履歴をデータベース化せずに放っておくと、やがてタイヤが入っていることにだれも気がつかなくなり、通常の舗装と同じようにプラントに持っていったりして、不都合が発生するというようなことも考えられます。これらを踏まえれば、建設建材の履歴のデータベース化が必要であり、これが喫緊の課題であると考えています。
 空間情報、地図上のデータベースを利用し、工事現場周辺の再資源化施設情報や経路検索等ができる「建設副産物情報交換システム」が平成13年8月より運用開始しており、JACICが運営しています。このシステムの利用者が増えますと、取り扱うデータ量が増加しシステムの信頼性が高まってきますので、普及に努めていきたいと考えています。
 また、処理に対する不信ということも改善されていくと思います。
建設副産物情報交換システム
建築物の解体工事や新築工事に伴い、増大する発生材を活かすため、工事発注者、排出事業者及び処理業者間の情報交換により、建設副産物にかかわる需要バランスの確保、適正処理の推進、リサイクルの向上及び建設リサイクル法の各種書類作成作業の省力化を目的としたWEBオンラインシステム
参考:JACIC 建設副産物情報センターHP


建設副産物センターのホームページ
図−11 建設副産物センターのホームページ
 
建設副産物情報交換システムイメージ
図−10 建設副産物情報交換システムイメージ
 
 
藤井 元生氏 藤井 元生氏
1983年 京都大学大学院工学研究科交通土木工学専攻 修士課程修了
1983年 建設省入省
1995年 建設省近畿地方建設局奈良国道工事事務所所長
1997年 建設省近畿地方整備局道路部道路調査官
1999年 通商産業省環境立地局立地政策課地域活性化企画官
2000年 建設省道路局国道課建設専門官
2001年 国土交通省総合政策局建設副産物企画官として現在に至る。
 
植田
 マニフェストというのはどうですか。情報管理のもう1つの鍵みたいなものなので、期待は大きいと思うんですけれどもね。  
大平
 マニフェストが情報管理する最初のデータになるんですね。私どもも、大体インプットの伝票をマニフェストにしています。そのときに、現場で分別していたら、分別品目ごとに一応入れていく仕掛けも持っています。これはほかの建設会社においても、大体こういった情報管理は持っています。マニフェストに印刷されている品目の一覧表はもちろんのこと、素材別に分別したものも入れられる仕組みにしています。
 私どもは巡回回収を実施して、品目別に全部マニフェストから拾い出しまして、リサイクル率が大体68%まで上がってきています。たしか国の統計によると10%にも満たなかったのではないでしょうか。私どもは今そういう情報を全部パソコンに入れまして、それでインターネット、イントラネットなど色々な通信回線を利用して、すぐに末端の現場でも見られる仕組みを持っています。現在、関東甲信越地方で300カ所ぐらいの現場がありますが、すべてイントラネットで結んでおり、マニフェストは実は現場が管理しているのではなく、内勤部署で集中管理しています。
 平成13年4月の廃棄物処理法改正で、排出事業者は最終処分まで責任を持ちなさい、管理しなさいと決められましたが、実際は難しいです。それは色々理由がありますが、中間処理施設から、次の最終的な施設、最終処分に行くのは10以上ものルートがあることが1つの原因ですね。
 それらを最終処分用の伝票をプラスして、管理しなければならない。それも、出した現場が最終処分の終了まで確認しなければならない。これは現場の管理業務としてかなりハードになりますので、集中管理方式に変更しました。
 集中管理にして、また委託処理会社も半分以下に絞って最終処分まで管理しました。
 現場は、今まで委託契約管理、マニフェスト伝票管理、それから発生する支払い処理などと多くの事務処理がありました。それを集中管理することで、現場の廃棄物の事務処理は50%から70%程度減少しました。それでは逆に、集中管理部門の事務処理が増えたのではないかと疑問を持たれると思いますが、そうでもないんです。
 実はこれにも仕掛けが色々ありますが、そういった指定委託処理会社から電子データでマニフェストの情報をメールでもらいます。これはエクセルデータで1週間ごとに、最終処分の結果まで全部もらうようにしています。そうしますと、私どもは全体管理をするだけで、指定委託処理会社はインプットし、それが支払いに直結していますから、変なことは入れられないという役割分担ができています。そういう仕掛けを作って、初めて情報管理が生きると思います。
 このシステムを作ってみて、例えば環境省で現在作っている電子マニフェストシステムと、先ほど藤井さんが言われた建設副産物情報交換システム、これらはシステム同士ドッキングできると私は思います。そうすれば、お互いに情報交換し、利用できるところは利用することにより、より広範囲なサービスが生まれると思います。
電子マニフェストシステム
平成9年6月の廃棄物処理法改正により、事務の簡素化のために新たに創設された電子情報ネットワーク上のマニフェスト。平成10年12月1日以降は、排出事業者は産業廃棄物を委託して処理する場合、紙マニフェストか電子マニフェストのどちらかの選択を義務付けられた。
参考:財団法人日本産業廃棄物処理センターのHP
 
大平 将之氏 大平 将之氏
1969年 京都産業大学理学部卒業
1969年 (株)竹中工務店入社
1970年 同情報センター開発部門
1989年 同東京本店総務部課長
1998年 同東京本店環境管理センター副部長
2000年 同東京本店安全環境部副部長
2002年 同東京本店安全環境部環境担当部長として現在に至る。
 
植田
 そのためには、やはり信頼ある情報を得る必要がありますね。それには、マーケットにおいて評価される仕組みに変わっていくことが、大変大事な問題になりますね。  
大平
 そうですね。例えば、処理価格、混合廃棄物の値段がありますが、現在、東京において標準でm3あたり1万円程度です。しかし、分別した単品も1万円なんです。分けても1万円で、分けなくても1万円。これでは、まず分けないですね。
 なぜ価格差をつけないんだろう、もっと混合廃棄物は高くして、分けたリサイクル相当品はそれなりの値段にして、差を持たせることによって、もっとリサイクルを図ろうではないかと言っても、なかなかだめですね。
 
藤井
 建設リサイクル法には明記してありますが、発注者が適正処理料金をきちんと払っているかどうかということが問題ではないかと思います。  
植田
 要するに料金がリサイクルを誘導する、リサイクルの方向に動こうとする動機づけを与えるような価格体系みたいなものがどういうふうにできてくるのかという問題はすごく大きいと思います。
 一面では、処分地はなかなか見つからなくなってきているので、処分に回すコストはやはり高くなっていると推察するわけです。そうすると、もちろん、リサイクルコストはありますが、処分に回るよりはリサイクルに回した方が、お得であるといった料金体系の動きが、受け皿がどのぐらい整備されているか、不法投棄すると後でどのぐらい払わざるを得なくなるかといったことなど全てに係っているものですね。
 
     
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